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切迫流産・流産

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 切迫流産とはなんですか?

胎児が子宮内に残っており、流産の一歩手前である状態を「切迫流産」と言います。一般の流産は基本的に妊娠継続不可能ですが、「切迫流産」は妊娠継続の可能性があります。

妊娠12週までの切迫流産に有効な薬剤はないと考えられており、経過観察で対処することとなります。子宮に中に血腫(血液のかたまり)があるような切迫流産では安静が効果的とする研究報告もあります。

 妊娠初期に少量の出血があったときは?

妊娠初期に、少量の出血や軽い腹痛を感じることがあります。正常妊娠でこのような症状が起こることがありますし、流産や切迫流産で起きる場合もあります。
しかし、上記のように流産や切迫流産で、少量の出血等が始まった時点ですぐに医療機関を受診したとしても対処法はありません。このため、夜間、休日等に少量の出血や軽度の腹痛があっても、あえて救急外来を受診する必要はなく、翌日あるいは予定された健診の受診で充分と考えられています。ただし、腹痛がひどい場合には異所性妊娠(最近まで子宮外妊娠といいました。子宮の中でなく、卵管や卵巣のまわりに妊娠すること)の可能性がありますので、そのような場合には時間外であっても受診しましょう。(日本産科婦人科学会 ホームページより)

 流産とは

妊娠したにもかかわらず、妊娠の早い時期に赤ちゃんが死んでしまうことを流産と言います。定義としては、22週(赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていけない週数)より前に妊娠が終わることをすべて「流産」といいます。妊娠12週未満の早い時期での流産が多く、流産全体の約80%を占めます。

[頻度]  妊娠の15%前後が流産に至るとの統計もあり、多くの女性が経験する疾患です。

 流産の原因

早期に起こった流産の原因で最も多いのが赤ちゃん自体の染色体等の異常です。つまり、受精の瞬間に「流産の運命」が決まることがほとんどです。お母さんの妊娠初期の仕事や運動などが原因で流産することは、ほとんどないと言って良いでしょう。

 流産の種類について

原因による分類

  1. 人工流産
    いわゆる「人工妊娠中絶」のこと。母体保護の目的で母体保護法指定医によって行われる手術です。
  2. 自然流産
    上記以外の、自然に起きる流産のことすべてを言います。手術の有無は関係ありません

症状、進行具合による分類

  1. 稽留流産
    胎児がすでに死亡しているにも関わらず、子宮内に留まっている状態のことをいいます。少量の出血や痛みがあることもありますが、症状が全く出ないこともあり、その場合には、超音波検査による確認が必要となります。流産手術が必要となることが多いです。
  2. 不全流産
    胎児がすでに死亡しているにも関わらず、子宮内に留まっている状態のことをいいます。少量の出血や痛みがあることもありますが、症状が全く出ないこともあり、その場合には、超音波検査による確認が必要となります。流産手術が必要となることが多いです。
  3. 完全流産
    子宮内の胎児・絨毛組織が完全に排出され状態で、この場合には流産手術は必要ではありません。

流産手術の目的

絨毛組織を子宮内から完全に取りのぞき、子宮腔の癒着や卵管閉鎖の原因となる子宮内感染症を予防して、次の妊娠に備えることが流産手術の目的になります。

 流産手術のリスク

  1. 感染:十分に消毒をし、清潔に行いますが、流産後長期間経過している場合など、まれに術後に発熱などの感染症を疑わせる症状がみられることがあります。その場合、入院して抗生剤の投与などの治療が必要になることがあります。
  2. 頸管裂傷:頸管拡張処置などで裂傷が起こることがあります。これを防ぐため、ラミセルを用いてゆっくりと拡張処置をします。
  3. 子宮穿孔:子宮内処置で穴をあけてしまうことがあります。小さな穿孔の場合は子宮収縮薬、抗生剤を投与し、経過観察をしますが、大きい場合は開腹手術が必要になる場合があります。当クリニックでは超音波ガイド下で手術を行っているため、過去一度も発生したことはなく、子宮穿孔の可能性は非常に少ないと考えています。
  4. 子宮内容遺残:術後数週間しても出血が持続する原因になったり、感染源となって発熱や腹痛の原因になることがあります。子宮収縮薬の投与で経過観察できる場合もあれば、ごく稀に再手術が必要になることもあります。
  5. 子宮内腔の癒着:ごく稀に子宮内腔に処置のために過度に傷がつくと、癒着が起こることがあるとされています。
  6. 子宮収縮不全:子宮が収縮せず、大量に出血することが稀にあります。

 流産手術(吸引法)の実際

当クリニックにて行われている流産手術の方法(吸引法)についてご説明いたします。

  1. 妊娠12週未満では、日帰り入院ですので、当日に帰宅が可能です。妊娠12週以降は、原則入院が必要となり手術方法が異なります。12週以降の場合は薬を使用して子宮収縮を促し、胎児と胎盤を娩出させます。
  2. AM9:00頃 子宮口が狭く、拡張が必要な場合には、子宮口を開くために子宮頚管へラミセルを挿入します。挿入時に多少の痛みが伴うこともありますが、麻酔を必要とするほどの痛みはありません。挿入後、病室で安静にして手術まで待機します。
ラミセル ラミセル
  1. 12:00頃 手術室にて、超音波ガイド下に 吸引法 による流産手術を行います。
    手術時には静脈麻酔を施行しますので、意識はなく痛みはありません。手術時間は10-15分程度です。
吸引術
  1. 手術が終わってしばらくすると目が覚めます。個人差はありますが、手術終了後、3-4時間で帰宅が可能となります。

手動真空吸引法(MVA): 従来のD&C(掻爬術)と比較した利点

  1. 疼痛が少ないため、静脈麻酔+局所麻酔の低侵襲な麻酔で手術が可能。
  2. 子宮穿孔、遺残による再手術、子宮内膜癒着が少ない。⇒不妊症の予防
MVA
手動真空吸引法のMVAキットと手技

 2012年のWHO safe abortionでは、妊娠初期の中絶方法として、手動真空吸引法(MVA)がより安全な手術法として推奨されています。

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