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ピル・緊急避妊

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 ピルってなんですか

 ピル(Pill)とは本来丸薬を意味しますが、一般的には経口避妊薬のことを言います。ピルが最初に紹介された頃は高用量の卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合剤でしたが、四十年近くをかけた研究の積み重ねによって、避妊効果を持続できる範囲のホルモン量の減量化がはかられ、中用量へとさらには現在の低用量ピルが誕生しました。

 低用量ピルは正しく服用すればほぼ100%の避妊効果が期待でき、女性が自らの手で完全にコントロールできる避妊法です。

 また最近では、避妊目的以外に月経不順、月経周期のコントロール(受験、スポーツの大会、臨海学校など)にも多く使われています。

 ピルの種類と特徴

 ピルとは卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲストーゲン)の配合経口避妊薬を指します。

低用量ピルには服用周期の中でこの二つのホルモン量の配合割合を変化させて作った1相性、2相性、3相性のピルがあります。当院では1相性および3相性のピルを処方しています。1周期に28日ないし21日間服用します。

 ピルのメリット

  • 避妊効果
  • 月経痛、月経周期の改善
  • 月経前不快気分障害(PMDD)の軽減
  • 子宮内膜症の進行防止
  • 尋常性ざ瘡(にきび)の改善
  • 卵巣がん、子宮体がん、大腸がんのリスク軽減

 ピルのデメリット

  • 悪心
  • 不正出血
  • 血栓症
  • 循環器系疾患

 ピルの服用に際し
必要な検査

安全にピルを服用していたたくために、下記のスケジュールで定期検査を行っています。勤務先のなどで健康診断を行っている場合には、その検査で代用できる場合があります。

初回時に行う検査

原則処方時に
必須な検査

  • 血圧測定
  • 体重、身長
  • 血液検査(血算、肝機能・脂質検査、血糖、血栓性素因関連)
  • 子宮頚部細胞診

必要に応じて
行う検査

  • 乳房検査

服用中に行う検査

毎回来院時に
行う検査

  • 副作用が出いていないかチェック
  • 血圧、体重測定

年に1回行う検査

  • 血液検査(血算、肝機能・脂質検査)
  • 子宮頚部細胞診
    健康診断を受けている方は、その結果で代用ができる場合もあります

 ピルが服用できない
可能性がある人

  • 年齢40歳以上
  • BMI 30以上
  • 喫煙者
  • 高血圧症
  • 耐糖能低下(糖尿病)
  • 産褥
  • 心臓病
  • 肝臓病、胆嚢疾患
  • 前兆ある片頭痛
  • 血栓症の家族歴(既往歴がある場合には不可)
  • 子宮頸がん
  • 乳がん
  • その他

上記に該当する方は、服用の可否に関して医師と十分相談する必要があります。

 ピルの種類と費用

日本で、現在発売されているピルは下記のとおりです。

 自由診療で取り扱いのピル

 主に避妊を目的に使用されます。黄色のマークは当クリニックで取り扱いピルです。
 初診後はオンライン診療利用して、ピルを郵送でお届けすることもできます。

  • マーベロン®21、マーベロン®28
  • ファボワール®21、ファボワール®28
  • トリキュラー®21、トリキュラー®28
  • ラベルフィーユ®21、ラベルフィーユ®28
  • シンフェーズ®T28
  • アンジュ®21、アンジュ®28

 保険診療で取り扱いのピル

月経困難症の治療目的に使用されます。
患者様の症状に応じて、処方します。

  • ヤーズ®配合錠,ヤーズフレックス®錠
  • ルナベル®配合錠LD、ルナベル®ULD
  • フリウェル®配合錠LD、フリウェル®配合錠ULD®

 ピルの費用

  • 自由診療1シート;¥2800~3000円
  • 保険診療;1シートの薬価;¥6000~7000円
    +診療料等の金額の3割負担

 費用の差は実質的にはわずかです

 ピルのリスクと利点(統計から)

OCの初回処方前に考慮するべきOCのリスクと避妊以外の利点との特徴
リスク 女性10万人当たりの割合(人) OC使用による相対危険度
冠動脈疾患 1500 増加なし
脳卒中 100 虚血性脳卒中は2倍増加
出血性脳卒中は増加なし
深部静脈血栓症(VTE) レボノルゲストレルおよびノルエチステロンのOCの使用で3倍増加 デソゲストレルおよびゲストデンのOCの使用で5倍増加
乳癌 女性9人当たり1例は一生の間に乳癌を発症する。30歳までの乳癌の発症リスクは概算で1900分の1、40 歳までが200分の1、50 歳までが50分の1となる いかなるリスク増加も小さいと考えられる。加齢とともに変化し、中止後10年でリスク増加を認めなくなる
子宮頸癌 11 5年後の増加は小さいが、10年後で2倍増加する
利点    
卵巣癌 22 10年以上にわたってリスクが半減する
子宮体癌 15 10年以上にわたってリスクが半減する

英国国家統計局による統計 http://www.statistics.gov.uk .

 緊急避妊法

 緊急避妊法(EmergencyContraception,EC)とは、低用量ピルを飲み忘れた、避妊しなかったり避妊に失 敗した、性犯罪の被害者になったなどに引き続いて起こる可能性のある妊娠を回避するために利用する最終の避妊方法です。

LNG(Levonorgestrel)法(レボノルゲストレル錠1.5mgⓇ);1999年にフランスで初めて承認され、世界保健機関(WHO)から緊急避妊目的の必須医薬品に指定されています。理想的には、性交後72時間以内に(遅くても120時間以内)できるだけ速やかに『レボノルゲストレル錠』を服用する必要があります。レボノルゲストレル錠は吐き気をはじめとした副作用が非常に少ないことが特徴です。
 費用;10800円(税込み)

 

 子宮内システム(IUS: Intrauterine System )

 ミレーナ®52mgから放出される黄体ホルモン(レボノルゲストレル)は、子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、内膜は薄い状態となり、妊娠の成立(受精卵の着床)を妨げたり、子宮の入り口の粘液を変化させて精子が腟の中から子宮内に侵入するのを妨げたりすることで避妊効果を発揮します。ミレーナ®52mgには高い避妊効果がありまが、それでも100%妊娠が防げるわけではありません。 1年間に妊娠する確率は約500人に1人です。

 

 

子宮内避妊用器具の挿入を希望される場合は、まず子宮がん検診などを行い異常がないことを確認する必要があります。子宮内への挿入は、月経周期の5-7日目前後に外来で行いますが、痛みはほとんどありません。

ミレーナ®52mg

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